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no.1:水野竜生(画家) Art Critics txt by 太田塁

色彩に覆われた水墨画の謎を解く                  
                            文 太田 塁


 こう云ってしまうと夢が無いが、犬は色覚が無い。つまり、虹を見ても何色かは知らないし、空の色も、飼い主の顔色も分からない。
 水野竜生氏の作品を、失礼ながらはじめはビデオのみで拝見した(後に本物の作品に接し、改めて最初におぼえた私の感覚に間違いは無いことを確認したが)。その範囲で氏の作品を瞬時に感覚すると、これは、あきらかに「犬でも分かる絵画」であることが分かる。
 氏の作品は確かに、独特の色使いや、自然を味方につけたストロークが品のある野趣を醸していて、そこが観る者の心を非常にとらえる点であろうと思われる。事実、美術関係者ならまず、その色彩の妙になにがしかの評を加えたくなるであろうし、「厳しく寂しいイメージの新潟の自然に、暖かな色彩を加えた」という見方も、当然したくなるであろう。
しかし、ドキュメンタリービデオの流れを追うまでもなく、氏の作品は、観る者が思うよりはるかに深く、水墨画との接点を宿している。氏が措く水墨画そのものは、その主流から云えば、あるいは型破りな類に含まれるかもしれないが、しかし、氏は水墨画のエッセンスについては、余すところなく取り入れているように見受けられる。
 さて、犬の話である。氏の作品を「犬でも分かる絵画」としたことに、故なきではない。いささか乱暴なこのコメントは、おそらく誤解を禁じ得ないであろうが、筆者の云わんとするところは次のようなことである。あの氏の作品を、ぜひ色覚を使わずに鑑賞してみて欲しい、ということだ。氏は、それが作家主義からくるものか、あるいは「芸術なるもの」の要請からか、とにかく強い色の絵の具を使う。それは勿論、すばらしい光景への旅を鑑賞者に約束してくれる。しかし私は、あのビデオのキャプチャー画像をパソコンにでも取り込んで敢えてグレースケールかモノトーンに変換して鑑賞することを想像してみて欲しいのだ。
 どうだろう、そこに広がるのは、まさに水墨画の世界だ。知ってか知らずか、氏は仮にその作品から色彩を奪ってしまっても、寸分も芸術的価値の変わらぬ(いやむしろその価値は増大するくらいだ)作品を作り続けていたのではないか。色覚があるがゆえに、あるいは気づいていないかもしれないが、氏は、キャンバスに絵の具を載せながら、実はモノトーンの作品を生み続けていたのである。その深いところにしっかりと根差した日本画や水墨画への造詣が、あのカラフルな新潟の絵の中に、そのような形で顔を出していたのだ。この点はおそらく、その色使いから氏の作品を鑑賞する者には、気づかれることはまずないであろう。しかし、色彩と云う前提から自由な鑑賞者は、必ずその深奥にあるにくい演出に気がつき、氏の作品を、「次の次元」で楽しむことが出来るであろう。
 新潟の山野をとぼとぼとゆく野良犬も、氏の作品だけはおそらく、芸術的センスを以って鑑賞することができるに違いない。〆

                       
*上海文化研究所発行『Ryusei Book』より。同文は英語と中国語に訳され、 画集に採録される。

アイ・イー企画のHPにて、水野先生の一部作品がご覧いただけます。

作品ご購入のご相談は、当HPのお問い合わせフォームよりお寄せください。

推薦図書:太田塁×近藤裕『何のために生き、死ぬの? 意味を探る旅』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長

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